「サポート」は一人では成立しない、何かしらの「他者」の存在を要する概念です。そして、「相互作用」が強く作用するものです。
サポート(support) ― 自分が元気でいるために努力するのはあなた自身なのですが、人からサポートしてもらうことと、人をサポートすることは、元気になり、生活の質を向上させることの助けになります。
私は病気を罹患し、病識のないまま社会復帰して病気を再発しました。その頃、お世話になっていた精神医療センターのケースワーカーといまだに交流があり、私はサポートを受けています。その方は、後に私の住む地域の社会福祉法人の理事長になられました。私は頼っては迷惑になると思っていました。しかし、ちょっとしたきっかけで、私が自分の将来に悩んでいることを知ったその方は、私をサポートして下さいました。私は涙が出るほど、嬉しかったです。足掛け何年お世話になっていることか…。本当にありがとうございます。
普段から私は自分をサポートして下さる方を増やす努力をしています。人を頼ることを悪く思う方も多いかもしれません。私は「頼る人が多い人ほど、その人は強くなれる」ということを十分に知っていますし、他の方にも、「周りの人を頼って良い」ということを伝えています。
そんな私ですけれども、困っている人からの相談を受け、サポートすることがあります。そんな時、私はその人の為を考えると同時に、当てにして頂いたという信頼を得た自信を頂戴しています。電話相談の相談員をしていた時もそうでした。「頼ってくれてありがとう。」と思いました。ここに電話するまでに様々な葛藤が相談者にはあると思うからです。また、「相談にのる(サポートする)ことで、自分の成長を促進する」こともわかりました。私は「相談者の権利を大切に。相談者から学ぶ。」というスローガンを自分に掲げていました。今でも、それは変わりません。サポートして欲しいと願っていない人をサポートすることは、退院促進のようなサポートでない限り、余計なお世話になってしまいます。サポートを必要としている人がいるからこそ、サポーターの出番があると思うのです。相談者の権利って、色々あるかと思いますけれども、私は「その人が失敗する権利」も奪わないように心がけています。自分で悟ったことの方が身につくことも多いとは思いませんか?
自分がサポートしていたと思っていた人から、サポートされたこともあります。その時ほど嬉しいことはありません。「サポート」の理想って「お互い様」という感覚でできることではないでしょうか。支援者のサポートとピアのサポートは、そこに大きな違いがあると私は思います。
私のキーコンセプト(家)の中では「屋根」に該当するコンセプトだと思います。屋根瓦が落ちたりして、迷惑をかけることもあるでしょうが、日々の暮らしを守ってくれる大切なコンセプトだと思います。
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