『WRAP(ラップ)とは?』
「WRAP(ラップ) = 元気回復行動プラン」
WRAP←サランラップのラップとつづり同じですが、そのラップではありません。
「Wellness Recovery Action Plan」の頭文字をとった名称で、アメリカにおいてメアリー・エレン・コープランドを中心に考案され現在は、アメリカのみならず世界中に広まっている自分が元気でいるために自分自身で作る行動プランの事です。
Wellness(≠Health)。いい感じ(Good your character)。
長い間、困難な感情や行動に対処してきた人たちによって開発されました。元気になり、生活を楽しむための努力を積んできた人たちです。
【歴史的経緯】
メアリー・エレン・コープランドさん(80歳超えている。YouTubeにある。)が調査をした。
[なぜ調査したか]
メアリーさんは37歳の頃(1976年頃)、双極性障害で、過剰な浮き沈みを薬で抑えていたが、薬で調整ができなくなった。
薬での調整がアレルギーや拒絶反応(リチウム中毒)のためにできなかった。どうしたら良いかを医者にきいてもわからなかった。
メアリーさんは、豊かな生活をしている人がいることを知っていた。
メアリーさんの母親は同じ双極性障害で8年入院したが、最期は幸せになって亡くなった。
ピアサポートの存在があったから。
そんな中、うまくやっている人とそうではない人がいるのがわかった。
そこで、全米120名以上にアンケート調査した。
[調査の結果]
メアリーさんが調査した中にふたつのグループがあった。
①自分の症状を誰かのせいにしている人達。「もし~だったら」という考えを持っている。
→これらの人々は引き続き症状が重かった。
②新しいことを試している。気分を良くする努力をしている。サポートに加わっている。
→これらの人々は症状の軽減が見られた。
元気に暮らしている人に共通していたのは、元気に大切な5つのこと(キーコンセプト=考え方のベクトル)をもっているということだった。
○希望 ○責任(自分で決めて、受け止めて、要るか) ○学び ○権利擁護すること ○サポート
この5つのベクトルを基に、「元気に役立つ道具箱」を考えた。
[元気に役立つ道具箱]
元気って何?目指す自分は?
[いい感じの自分]≠リポDのCM
≠ディズニーに行った時のハイテンションな自分
=ちょうどよい。しっくりくる。豊かな自分。
[WRAPが出来た経緯]
40代のメアリーさん(本を書いたり、ワークショップを開くようになった)。
「ワークショップ参加中は元気になれるけれども…(日常にいかすことができない)」という人のために、「道具」を使うタイミングをプランニングした。
→WRAPの6つのプランが出来た。※WRAPができたのが最後。
WRAPが出来て25年経ちます(25周年)。次の25年に向けて動いているところです。
近年では、WRAPの5つのキーコンセプトと、元気の出る道具箱と、6つのプランの他に、以下の「リカバリートピック」を考慮するようになってきている。
*自尊感情
*否定的な考えを肯定的にする
*ピアサポート
*仕事に関すること
*トラウマからのリカバリー
*自殺予防
*気分良くし元気でいることの助けになるような生活スタイルを築く
『WRAPは・・・に役立つ』
1.出来る限り元気でいることに役立つでしょう
2.困難な感情や行動の経緯を把握し、元気になるための行動プランを作る事に役立つでしょう
3.調子がとても悪くなり、自分で判断する事や身の回りのことをしたり、自分の身の安全を守ることが難しくなった時に周りの人にやってもらいたい事を伝えておく時に役立つでしょう
『WRAPはこんなときにも使えます』
生活上の変化を計画しているとき、それが上手くいく事を確かにする道具として役立ちます
『たとえば』
○就職、転職
○勤務時間を増やす
○責任を引き受ける事柄を増やす
○学校に通う、トレーニングを受ける
○グループホームから出る
○引越し
○男女の交際を始める、あるいは別れる時
○人間関係上の問題に対処する
○子どもが生まれる
『その他、生活上の事柄に対処するため』
○慢性あるいは急性の病気
○依存症
○悪い習慣をやめる
○減量
○新しい関心事を試してみる時
○病気や年老いた家族の面倒を見る時
『WRAPで扱う事柄』
それぞれの事柄に対して別々のWRAPを作っても良いし、それらの事柄を一つのWRAPで扱う事も出来ます
『あなたのWRAPを作ることができる人は』
ただ一人 = あなたです!
『これらはあなたが自分で決めることです』
○WRAPを作るかどうか
○どのくらいの時間をかけて作るか
○いつ作るか
○どのパートを作るか
○手伝ってもらうとしたら、誰に手伝って欲しいか
○どのように使うか
○誰に見せるか
○どこにしまっておくか
○渡すとしたら誰にクライシスプランのコピーを渡しておくか
『WRAPをつくるには』
バインダーと用紙と5組のタブを使ってWRAPを作ることができます
特別なものではなく、どんな用紙やノートでもWRAPを作ることはできます
パソコンやICレコーダーを使う事もできます
WRAPに取組む時、友達にサポートを頼むことができるかもしれません
関連記事:
- ◎WRAP
- ○メアリー・エレン・コープランド談(2002)
- ○メアリー・エレンからのメッセージ(2010)
- ◎WRAPの概要
- ◎WRAPの主要な概念を理解する
- ○リカバリーに大切なこと(キーコンセプト)
- ●希望
- ●自分で責任を持つこと
- ●学ぶこと
- ●自分のために権利擁護すること
- ●サポート
- ◎WRAPの各部分を探索する
- ○いい感じの自分
- ●元気に役立つ道具箱
- ●日常生活管理プラン
- ●引き金と行動プラン
- ●注意サインと行動プラン
- ●調子が悪くなってきている時の(深刻な乱れを知らせる)サインと行動プラン
- ●クライシスプラン
- ●クライシス後のプラン
- ○WRAPを使う
- ○関係性WRAP
- ○フォーカシングとマインドフルネスの違い
- ○WRAPを作り、使って、気付いたこと